フランスで紹介された日本社会の事案 『子どもの声は騒音か?』
メールアラートが面白い記事を教えてくれた。(記事をクリックしてください)
Les Japonais exaspérés par le bruit des enfants
原文はフランスの記事で、フランス語で書かれていますが、日本を舞台にした記事です。
『子どもの声は騒音なのか?子どもの声は地域のやっかいモノなのか? 出生率低下の一因か?』
記者は日本の出生率の低さの一因に地域社会が子どもの遊ぶ声を容認しないからだと
国内のいたるところで、『子どもお断り!』のような風潮がはびこっているかのような印象だったので
日本人として日本社会に生きるわたしの『本当かなぁ? コレは何かヘンだぞ?!』という勘が働いた。
案の定、元ネタがあるようだ。
元ネタは東京都世田谷区の事案
元ネタは昨秋の東京都・世田谷区長、保坂展人氏のツイッターに端をなすようだ。
ツイッターの関連ブログ
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子どもの声は騒音? 賛否両論寄せられた区長のツイート (赤線をクリックしてください)
- ドイツでは「子ども施設の子どもの騒音への特権付与法」が成立していた (保坂区長のブログ)
- 子どもの声は騒音? 賛否両論寄せられた区長のツイート<2ちゃんねるの反響>
世田谷区内では以前より保育園の園庭で遊ぶ声がうるさいといった類の苦情が寄せられたようなのだ。
フランスの新聞に記事を寄せた記者氏によれば、横浜でも同様の苦情が発生しているとある。記者氏は
この2箇所の事例をもって、日本の社会は大人たち、とりわけ、高齢者たちや子育て経験のない者が
子どもの声を生活騒音と捉え、それが声無きプレッシャーとして若い夫婦に子どもを生む気を萎えさせる
一因と推測している。
世田谷・横浜≠日本全国
世田谷や横浜の一部の住民はたしかに、『昔ながらの地域共生社会』よりも『自己満足』を重視する人はいそうだ。
長男の通った中学・高校は東京都世田谷区内にあったが、父兄参観等で学校へ向かう道すがら、多くの家が
ホーム・セキュリティ会社と契約をしていた。これは、緊密な近所づきあいをすることで地域社会の保全を
する方法よりも、過度に他人の家庭内のことに首をつっこまず、自助(自分の家庭は自分・あるいは自分がみつけた
満足のおける第3者に依頼することで守る意識)に重きを置いていることを示している。 自助を重視する地域では
自分の望むライフスタイルを汚されることを嫌がる。たとえば、静かな環境下で暮らしを望んでいるところへ、子どもの声が。
そうしたら住民は自然と『子どもはうるさい!どっかへ行け!』という反応を起こす。自然だ。
これで納得だ。世田谷そして横浜の一部を下敷きに書いた記事だったのだ。ただ、困ったことにフランス語の記事では
Au Japonと『日本では子どもは~』と、国中いたるところで、子どもがさも締め出されているかの印象を与えている。
そこは誤解だ。地方の小都市と区分けされる場所に住む自分は、子どもの遊ぶ声は歓迎されている。
今回の記事を読むと、外国に自国の状況を知らせるのは簡単なようで簡単ではないことがわかった。勉強になる。
ついでに言えば、記者氏は世田谷や横浜の一部のようなスノッブな住民気質が多く住んでいるフランス国内の地域と
比較してみても面白かっただろうに・・・。
ま、いずれにせよ、都内のいち地域のトラブルがフランスに紹介され、それがFacebookやツイッターといったITで
あっという間に海外に配信される。それゆえ、Au Japon のような安易な言葉選びは慎まないと(自戒をこめて)